HPH-MT7インタビュー / スタジオエンジニア 杉山勇司 氏

Japan/Tokyo, Nov 2015

単体の音をモニターしたい時、2mixのある一部分を聞きたい時、スムーズにそこに意識を持って行くことのできるモニターヘッドホンだ。

Detailed Review

普段、モニタースピーカーとヘッドホンを組み合わせて仕事をしていますが、ヘッドホンを使う場合はミックスされている部分の一部分を環境音とアイソレートしてモニターしたい時に使います。ヘッドホンで重要だと思うことは、自分が音に何か変化を加える際に、きちんと反応する事。また環境音とアイソレートする事が目的なので遮音性も非常に重要です。長時間作業する事も多いので疲れない装着感、快適性も重要ですね。これは自分自身が使う時は勿論のこと、他人に使ってもらう時にも重要なポイントで、ミュージシャンに使ってもらう際は、ヘッドホンが楽器を演奏する時に邪魔にならない、重すぎないものを渡す様にしています。私は普段HPH-MT220を使用しており、HPH-MT7はワイドレンジに渡りフラットであると言う点ではHPH-MT220に共通していますが、HPH-MT7は特にボーカルの帯域をモニターする際に良いと思いました。音楽鑑賞では特に気にする事はありませんが、音楽制作を行う際には、使うシチュエーションでベストな機材を使い分ける必要があると私は考えます。HPH-MT7は装着時の軽さ、装着感の良さから演奏者に進めたいヘッドホンです。

今回、HPH-MT7をリファレンスCD音源、マルチトラック素材の単音にてチェックしました。音を聞いてまず思ったのは、音源の再現性が非常に高いことですね。単体の音をモニターしたい時とか、2mixのある一部分を聞きたい時、スムーズにそこに意識を持って行ける。音の分離が良く、気持ちをフォーカスしやすいとでもいうのでしょうか。この点は私が普段使用しているHPH-MT220の良いところを受け継いでいるかと思います。

遮音性、音の再現性、長時間の作業でも疲れない装着感の全てを賄うものとしてHPH-MT220を愛用していますが、HPH-MT7は軽いので、より長時間の作業に向いていると思います。外に持ち出す際や演奏者に使ってもらう時に良いので、シチュエーションに応じて使い分けたいと思っています。

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Profile
1988年、SRエンジニアからキャリアをスタート。くじら、原マスミ、近田春夫&ビブラストーン、東京スカパラダイスオーケストラなどを担当。その後レコーディング・エンジニア、サウンド・プロデューサーとして多数のアーティストを手がける。主な担当アーティストは、ソフト・バレエ、ナーヴ・カッツェ、東京スカパラダイスオーケストラ、Schaft、Pizzicato Five、藤原ヒロシ、UA、X JAPAN、L'Arc~en~Ciel、LUNA SEA、Jungle Smile、Super Soul Sonics、広瀬香美、Core of Soul、cloudchair、Cube Juice、櫻井敦司、dropz、睡蓮、Heavenstamp、ニルギリス、堀江由衣、寺島拓篤、阿部真央、Babyboo、YOSHIKI、河村隆一など。また、書籍『レコーディング/ミキシングの全知識』 ( リットーミュージック)を執筆。

データ

製品情報 HPH-MT7, HPH-MT220, HPH-MT120