【導入事例】アニメロサマーライブ2014 / イベント / 埼玉県

Japan/Saitama, Nov 2014

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多くのアニメソングアーティストたちがレーベルの垣根を越えて集結し、ファンとアーティストをつなぐ架け橋として毎年開催されている「Animelo Summer Live(以下、アニサマ)」。2014年で開催10回目を数え、今年は「Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-」をイベントタイトルとして、さいたまスーパーアリーナにて8月29日から8月31日の3日間での開催となった。T.M.Revolutionや水樹奈々、ももいろクローバーZなどのメジャーアーティストから、アイドルマスター、ラブライブ、プリキュアなど様々なジャンルのユニットも参加し、3日間で8万人超の動員を誇るアニメソング世界最大級のフェスティバルとなっている。

本イベントの音響プランニングおよびオペレートは株式会社MSI JAPAN東京様が担当。今年は新たな試みとして、モニターシステムにCL5を5台使用する大規模なシステムを構築。現場を担当した同社神田氏、大宮氏および株式会社共立の井関氏にお話を伺った。


アニサマは、1つのステージでのイベント進行でありながらも純粋な転換時間が短く、次々とアーティストが出演することで観客は待ち時間なく楽しむことができるという特徴を持っている。そのため現地管理を行う音響会社としては、アーティストおよびゲストオペレーターごとに最適な音響システムを限られた転換時間の中で即座に用意することが求められる。特にイベント終盤での進行において転換時間がわずか数十秒という場面もある。例年コンソールを複数台用意して様々な試行錯誤が繰り返されるとともに、本番当日の運用や機材量、設置スペースなど改善の可能性については常に模索が続けられてきた。

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そうした課題の解決を目的として、今年のアニサマでは複数台のCL5を組み合わせたシステムが採用されることとなる。ステージ上手袖にA/B卓構成のシステムが2セット設置され、さらにそれらの音声を束ねてインイヤーモニターやウェッジスピーカーに音声を送り込むための「マスター卓」として更にもう1台が用意され、計5台のCL5で構築された大規模モニターシステムとなった。


今回のシステムでは各アーティストのインイヤーモニターに送信される音声のレイテンシーを極小化するため、4台のCL5からマスター卓に対してAES/EBUにて音声が伝送されている。ワードクロックについてはマスター卓から、それぞれのCL5のMYスロットに挿入されたMY16-AE(AES/EBU)経由で供給されている。またA/B卓構成としてシステム化されたそれぞれのDanteネットワーク(Dante network1 / Dante network2)内にて1台のCL5がそれぞれのDanteネットワーク上の“Preferred Master”として設定されている。そして各ネットワークにはネットワークスイッチとしてLuminex社の「Gigacore12」をプライマリー回線用およびセカンダリー回線用として2台ずつ用意し、回線の二重化も行われている

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ステージケアおよびモニターを担当した神田氏にお話を伺うと「昨年も5台のコンソールを用意してこちらの現場に臨みましたが、今年はよりコンパクトなCL5を使用することでモニタースペースを広く確保することが出来ました。I/Oラックとして使用したRio3224-Dを複数のコンソールから共有する『ゲイン・コンペンセーション』を利用することで、アクティブスプリッターの必要数も減り、各デバイス間のワイヤリングもほぼLANケーブルのみで済んだため、仕込みの作業が大幅に楽になりました」とのこと。大宮氏からも、「CL5は、機器が持つスペックに対して必要とされるスペースがコンパクトでありオプションとして用意された豊富なMYカードにより柔軟なシステム構築が可能なため、現場で要求される状況に応じて、いかようにもシステムを組める安心感があった」と、その評価は高い。

実際のオペレーションについて井関氏は以下のように語る。
「今まで出来なかったこととして、『ゲイン・コンペンセーション』を利用したI/O共有を実現することができ、I/Oラックの数を減らすことができせたのは面白い試みでした。またフェスティバルではゲストオペレーターへの対応が求められる場面も多いですが、コンソールファイルコンバーターを使ってPM5DやM7CLのデータを利用される方も多く、ゲストオペレーターさんとの事前のデータのやりとりをスムーズに行うことができました。またカスタムフェーダー機能を使用することで、バンクごとに柔軟なチャンネルレイアウトを実現することが可能となり、活用次第でオペレーターのストレスを軽減することができます。これまでCL5を触ったことのない方でも問題なく使用出来る操作性も良いですね」

また、カスタムフェーダー機能については大宮氏も以下のように続ける。
「オペレーターが次々に変わるフェスティバルの現場ではとても便利です。特にフェーダーの配置にはそれぞれのオペレーターの好みもありますからCL V2からはカスタムフェーダーの配置をシーンに記録・追従させることも可能となり、更に自由度が上がっていますね」また肝心の出音についても井関氏に伺うとインイヤーモニターを使用してでモニタリングしていてもバンドの音に分離感があり、これまでに比べてクリアになったと感じます」との声が聞かれた。

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毎年賑やかになってきている国内フェスティバルシーン。多彩なアーティストが集結し、それぞれに特色あるフェスティバルが各地にて展開される中、年々現場ではより高度で柔軟な対応が求められるようになってきている。今回インタビューさせていただいたエンジニアの皆さまからも、そうしたフェスティバルの現場において、より良いPAサービスを実現させるべく、今回のシステムをベースとして更なるブラッシュアップを図っていきたいと今後への熱意を熱く語っていただいた。

写真:
左より大宮氏(株式会社MSI JAPAN東京様)、神田氏(同左)、井関氏(株式会社共立様)

ありがとうございました。


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