【導入事例】Gardens Pasta Café ONS 様 / レストラン / 兵庫県

Japan/Hyogo, May 2017

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MTX3がフロアごとの音空間を演出


2016年9月、西宮市にオープンしたカフェGardens Pasta Café ONS様のBGMシステムに、マトリクスプロセッサー MTX3が導入された。
導入の経緯や運用について、システムの設計を手がけたハッピーコンピューター株式会社 代表取締役 平田 雄紀氏、株式会社ナーヴサウンズ 伊田 洋海氏にお話を伺った。


まずはおふたりがGardens Pasta Café ONS様のBGMシステムを手がけられたきっかけについて伺えますでしょうか?

平田氏:
株式会社お客様みなさまおかげさま(以下略:株式会社OMO)様との取引のきっかけは、OMO様が西宮市内で経営するラーメン店でした。にぎやかな店内でもオーダーの取りやすい音空間にしたい、また店内のITインフラを整えたい、とのご相談をいただいたのが始まりです。
今回Gardens Pasta Café ONS開店にあたり、OMO様より店内のBGMシステムの設計、およびPOSシステム、ビジネスフォンといったITインフラの構築の依頼をいただきました。その中で、音響の詳細設計において株式会社ナーヴサウンズ 伊田氏に協力いただきました。
伊田氏:
平田氏とは過去に制作業務で協業がありました。
今回はMTX3を使用したシステム仕様の詳細設計を担当しました。

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Gardens Pasta Café ONS についてご紹介いただけますか?

平田氏:
Gardens Pasta Café ONSのコンセプトは、「樹と緑に囲まれた圧倒的な空間で、こども連れ3世代で楽しめる生パスタ・Café・BBQ・LIFE STYLE GOODSのお店」です。フロアは3F構成になっています。
1Fには円卓、ボックス席、そしてオーナーこだわりのインディアンアクセサリーを集めたセレクトショップのコーナーがあります。メインキッチンに加えてパティシエ専用のキッチンもあります。中央の階段を上った2Fにはテーブル席とドリンクキッチンがあります。2Fの屋外にはテラス席のほか、BBQが楽しめるスペースがあります。加えて2F奥には料理教室や打ち合わせが可能なレンタルスペースもあります。3Fはオフィスです。
お店のエントランスには子供が遊べる庭が広がり、奥には自家農園もあります。このように店内の各スペースが異なる用途で使われるため、BGMについても空間ごとの演出が必要になり、MTX3導入に至りました。

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BGMシステムと各スペースの運用について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

平田氏:
音響機器は2Fに設置しています。さまざまな入力信号をMTX3にまとめ、各スペースに送り出しています。パワーアンプはXMV8140を使用しています。
出力系統は4系統です。店内を1Fフロア、2Fフロア、1F屋外エントランス&2Fテラス席、2F BBQスペースの4つのゾーンに分けて、個別に制御しています。例えば2FでBlu-rayを再生する際はプロジェクターの映像が見える範囲のみに出力する、2Fテラス席にお誕生日のお客様がいらっしゃる際はそのゾーンのみにバースデーソングを出力する、といった要領です。
入力系統は8系統あります。店舗BGM、バースデーソング、2Fフロアで映像を送出するためのPlayStation 3(ステレオ)、イベント用のAppleTVを介したPCからの映像/音声入力(ステレオ)、イベント用ワイヤレスマイク、および3Fオフィスに設置されたビジネスフォンからの館内放送(ページング)です。

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BGMに思い入れがあると伺いました。

平田氏:
はい、そのとおりです。OMO様はBGMに関して、会話を楽しめるBGMを提供し空間を演出したい、またBGM店舗のコンセプトである「OLD NEW SCHOOL」を意識したオリジナルのプレイリストを再生したい、という2つのご要望をお持ちでした。
音源はオリジナルのプレイリストをSDカードに入れて、MTX3から再生しています。プレイリストは朝、ランチ、カフェ、ディナーの4つの時間帯それぞれにフォルダ分けされており、MTX3のスケジューラー機能を活用し時間帯に合わせてシャッフル再生しています。このスケジューラー機能とフォルダ内のシャッフル再生機能の両立は他メーカーの商品には無く、MTX3を選んだ理由のひとつです。
バースデーソングはDENON DN-700Rから再生しています。MTX3のプライオリティダッカー機能により、ボタン1つでスタッフが容易に割込再生することができます。

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操作が簡単な点も評価されているのですね?

平田氏:
そうですね。音響機器に慣れていないスタッフの方が簡単に操作できることも、OMO様のご要望のひとつでした。ちなみに各空間のBGMのON・OFFや音量の調整は、コントロールパネル DCP4V4S-USで調整しています。コントローラーは1Fに1台、2Fに2台、そして3Fのオフィスにも1台設置されており、調整時に機器の設置場所まで行かずにリモートコントロールができ便利です。
MTX3のパネルロック機能により本体の誤操作が防止できる点も、安全な運用に寄与しています。
このようにBGMシステムの運用の手間を減らすことで、スタッフの方は接客に集中することができます。

その他にもシステムで 工夫された点はありますでしょうか?

平田氏:
非常放送は、鳥取地震を受けて弊社からご提案しました。緊急時には、3Fのオフィスに設置したビジネスフォンのページング機能とMTX3の連携により、緊急地震速報の音声が自動出力されます。MTX3のプライオリティダッカー機能により、BGMに割り込み再生されます。

システム設計で重視されたポイントを伺えますでしょうか?

平田氏:
店舗スタッフの方が誰でも簡単に操作できること、また操作上のトラブルが少ないことを第一に考え設計しました。
次に重視したのは、設置・設計の利便性でした。MTX3は多機能にもかかわらず1Uでスペースを取りません。XMVアンプとの結線もYDIFでシンプルに行えました。コントロールパネルDCP4V4S-USについても、LANケーブルの配線工事のみで簡単に設置でき、施工時間の短縮につながりました。
伊田氏:
MTX3はマトリクスが組めるほか、EQやダイナミクスといったプロセッサーとしての機能がすべて1台で済む点が良いですね。EQは、会話がしやすいようにBGM音源と声が被る帯域を下げるのに使っています。

平田氏:
今回、MTX3設置時に特に重宝したのは、音響調整に用いたiPhone/iPad からのリモートコントロールを可能にするアプリケーションソフトウェアWireless DCPです。
通常の音響調整では店内を歩き回って確認し、機器に戻って調整し、再度客席に戻って確認、調整、と半日以上かけて作業を行います。今回はWireless DCPを用いたことで、オーナーと歩きながらその場で音量の確認・調整ができ、作業時間の短縮に貢献しました。着工から開店までの期間が短かったのですが、無事に開店に間に合わせることができました。
伊田氏:
柔軟性の高さもポイントのひとつです。開店後に店舗のサービスの内容が変更になった場合も、システム設計を行うアプリケーションソフト MTX-MRX Editorを用いて簡単にシステムを変更することができます。

保守の観点ではいかがでしょうか?

平田氏:
MTX-MRX Editorが便利です。導入時のプリセットをPCに保存していますので、万が一トラブルが発生した場合にも簡単に初期設定の呼び出しをすることができます。またWireless DCPのIPを指定して弊社PCとVPN(仮想LAN)接続しており、最低限の保守は遠隔で行っています。

ありがとうございました。

データ

製品情報 MTX Series
XMV Series
・DCP4V4S-US
Wireless DCP