ヤマハSWP1シリーズの設定

VLAN (仮想ネットワーク) の構築

まず、SWP1シリーズは、3つのVLANプリセットをもっており、DipスイッチでかんたんにVLAN設定を切り替えることができます。また、VLANプリセットだけでなくVLANをWeb GUIから自由に設計し設定することも可能です。

VLANは、Dante以外のネットワーク機器が混在したり、多数のDante機器が存在したりする場合は、ネットワークを仮想的に分割することで異なる種類のネットワーク機器間で不要なパケットが流れるのを防ぐことができ、より安定したネットワークを構築できます。ネットワークごとに必要な台数分のスイッチを準備するのが理想的ですが、VLANによる「論理」ネットワークを構成することにより、必要とするスイッチやケーブルを減らすことできるのでメンテナンス性も含めたコストメリットがあります。

VLAN (Virtual Local Area Network)は、物理的な接続とは別に仮想的なネットワークを構成することです。複数の異なる種類のネットワーク機器がある場合に、VLANを設定することにより物理的には同じスイッチを共有して、論理的には別のネットワークを構成することができます。

VLAN (仮想ネットワーク) の構築

スイッチ間はVLANごとに接続することもできますが、タグVLANと呼ばれる技術により1本のトランク回線(ケーブル)で複数のVLANをまとめてつなぐこともできます。このようにして、物理的な結線とは別に論理的なネットワークを構成できます。

たとえば、CL/QLシリーズコンソールを使用したライブSRシステムを想定して、VLAN 1にDanteネットワークを、VLAN 2にコントロール信号のネットワークを構成します。

上記の例は、VLAN 1がオーディオ転送用に広帯域の1Gbpsネットワークで、VLAN 2がコントロール信号用の100Mbpsネットワークであるとも言えます。これらのネットワークを分離することで、1Gpbsネットワークが100Mbpsネットワークを圧迫するのを防ぐことができます(トランク回線では両ネットワークが共存します)

VLANを使用してDanteのプライマリ回線とセカンダリ回線を同じスイッチに接続することもできますが、ケーブル不良などのトラブルに対する冗長性は確保しても、スイッチが故障したときに両回線が切れる可能性があることにご注意ください。スイッチのリダンダントのためには、SWP1を2台使い、1台目をプライマリ回線専用、2台目をセカンダリ回線専用にすることをお勧めします。

VLAN機能を使うために、まずSWP1シリーズのVLAN設定のプリセット「A」「B」「C」について、SWP1-16MMFを例に説明します。

VLAN PRESETが「A」の場合、DanteをVLAN1グループに、それ以外のControl信号などをVLAN2グループに接続します。スイッチ同士を接続する場合にはopticalCON端子をトランクポートとして使います。

VLAN PRESETが「B」の場合もほぼ同様ですが、スイッチ同士を接続する場合にはopticalCON端子に加え2つのetherCON端子をトランクポートとして使うことができます。opticalCONを搭載していないスイッチとも接続したい場合などに使用してください。

VLAN PRESETが「C」の場合、VLAN1はDante Primary、VLAN2はDante Secondaryとして使います。スイッチ間を接続する場合にはVLAN1同士およびVLAN2同士のポートを接続します。この場合、ケーブルやポートのリダンダントにはなりますが、スイッチのリダンダントにはならないことをご理解ください。

最後に、プリセット以外のパターンのVLANを組みたい場合はWeb GUIから自由に設定できます。ここでは、VLANプリセット「A」をベースに、VLAN2のポート15/16をVLAN1(Dante用)に変更する場合を例にして、VLAN設定を変更します。

VLAN PRESETが「A」になっていることを確認し、コンピューターはこれから設定するVLAN 1(ポート1-6、9-10、13-14)につながっていることを確認してください。VLAN 1は特殊なデフォルトVLANなので、スイッチを設定する場合は必ずこのポートにコンピューターをつなぐ必要があります。

VLAN2のメンバーであるポート15-16をVLAN1のメンバーに変更します。まず、「Tag VLAN」をクリックするとポートごとのVLAN設定が表示されるので、Portの15と16にチェックしSpecify allをクリックします。

VLAN IDを「1 (default)」に変更して、「OK」をクリックします。

最後に、DANTEモードではスイッチ再起動後に設定が引き継がれないので、今回設定した内容を次回も使いたい場合は、現時点で設定ファイルを書き出し、USERモードでの再起動後にその設定を読み込む必要があります。設定のエクスポートおよびインポート方法については、後述の 「複数台のSWP1の設定 (設定の複製)」をご参照ください。