VLAN (仮想ネットワーク) の構築

VLANは、Dante以外のネットワーク機器が混在したり、多数のDante機器が存在したりする場合は、ネットワークを仮想的に分割することで異なる種類のネットワーク機器間で不要なパケットが流れるのを防ぐことができ、より安定したネットワークを構築できます。ネットワークごとに必要な台数分のスイッチを準備するのが理想的ですが、VLANによる「論理」ネットワークを構成することにより、必要とするスイッチやケーブルを減らすことできるのでメンテナンス性も含めたコストメリットがあります。

VLAN (Virtual Local Area Network)は、物理的な接続とは別に仮想的なネットワークを構成することです。複数の異なる種類のネットワーク機器がある場合に、VLANを設定することにより物理的には同じスイッチを共有して、論理的には別のネットワークを構成することができます。

VLAN (仮想ネットワーク) の構築

VLANによる論理ネットワークを構成

スイッチ間はVLANごとに接続することもできますが、タグVLANと呼ばれる技術により1本のトランク回線(ケーブル)で複数のVLANをまとめてつなぐこともできます。このようにして、物理的な結線とは別に論理的なネットワークを構成できます。

スイッチ間のVLAN接続は1本のトランク回線で構成

たとえば、CL/QLシリーズコンソールを使用したライブSRシステムを想定して、VLAN 1にコントロール信号のネットワークを、VLAN 2にDanteネットワークを構成します。

VLAN構成例 (CL/QLシリーズによるライブSRシステム)

上記の例は、VLAN 1がコントロール信号用の100Mbpsネットワークで、VLAN 2がオーディオ転送用に広帯域の1Gbpsネットワークであるとも言えます。これらのネットワークを分離することで、1Gpbsネットワークが100Mbpsネットワークを圧迫するのを防ぐことができます(トランク回線では両ネットワークが共存します)

VLANを使用してDanteのプライマリ回線とセカンダリ回線を同じスイッチに接続することもできますが、ケーブル不良などのトラブルに対する冗長性は確保しても、スイッチが故障したときに両回線が切れる可能性があることにご注意ください。スイッチのリダンダントのためには、SWX2300シリーズを2台使い、1台目をプライマリ回線専用、2台目をセカンダリ回線専用にすることをお勧めします。

プライマリ回線とセカンダリ回線はできるだけ別のスイッチに接続

ここでは、SWX2300-16Gのポート1~6をVLAN1に、ポート7~16をVLAN2に、SFPポートをトランクポートに設定する手順を紹介します。

VLANパターン例

以降の設定を行う前に、コンピューターはこれから設定するVLAN 1(この例ではポート1~6を想定)につながっていることを確認してください。VLAN 1は特殊なデフォルトVLANなので、スイッチを設定する場合は必ずこのポートにコンピューターをつなぐ必要があります。

最初に、必要なVLANを作成します。初期設定ではVLAN 1だけが存在するので、VLAN 2を追加します。以下のページで、「VLANの一覧」の「新規」ボタンをクリックします。VLAN IDが「2」であることを確認し「確認」をクリックします。多数のVLANを作成する場合はVLAN名を適宜変更しておくと識別に便利です(必須ではありません)

詳細設定 > VLAN > VLANの作成

VLANの新規作成画面

VLAN新規作成後の画面

次に、各スイッチポートの動作を設定します。SFPポートの光回線を「トランク」ポートに設定する場合、以下のページで例えばポート17の「設定」をクリックします。

詳細設定 > VLAN > タグVLAN

動作モードで「トランク」を選択し、所属VLANのネイティブVLANが「1 (default)」であることを確認後、トランクVLANで「選択」をクリックします。

ポート17のVLAN設定画面

VLAN IDの「2」を選択して「確定」をクリックし、「確認」、「設定の確定」の順にクリックします。

トランクVLANの選択画面

ポート17のVLAN設定確認画面

次に、各スイッチポートの所属VLANを設定します。以下のページで、VLAN2を設定するために、ポート7~16にチェックを入れ、「一括設定」をクリックします。

詳細設定 > VLAN > タグVLAN

ポート7~16の動作モードが「アクセス」ポートであることを確認し、所属VLANを「2」に選択します。

タグVLANの一括設定

VLANの設定完了画面

これで、スイッチ内での論理ネットワーク(VLAN 1、VLAN 2)が構成され、トランクポート(ポート17)を経由してスイッチを跨った論理ネットワークも構成されました。