Cisco SG300の設定

VLAN (仮想ネットワーク) の構築

Dante以外のネットワーク機器が混在したり、多数のDante機器が存在したりする場合は、ネットワークを仮想的に分割することで異なる種類のネットワーク機器間で不要なパケットが流れるのを防ぐことができ、より安定したネットワークを構築できます。ネットワークごとに必要な台数分のスイッチを準備するのが理想的ですが、VLANによる「論理」ネットワークを構成することにより、必要とするスイッチやケーブルを減らすことできるのでメンテナンス性も含めたコストメリットがあります。

VLAN (Virtual Local Area Network)は、物理的な接続とは別に仮想的なネットワークを構成することです。複数の異なる種類のネットワーク機器がある場合に、VLANを設定することにより物理的には同じスイッチを共有して、論理的には別のネットワークを構成することができます。

VLAN (仮想ネットワーク) の構築

スイッチ間はVLANごとに接続することもできますが、タグVLANと呼ばれる技術により1本のトランク回線(ケーブル)で複数のVLANをまとめてつなぐこともできます。このようにして、物理的な結線とは別に論理的なネットワークを構成できます。

ここでは、2つのVLANを構成してトランク回線でスイッチ間を接続する例を紹介します。たとえば、CL/QLシリーズコンソールを使用したライブSRシステムを想定して、VLAN 1 (ポート1~2)にコントロール信号のネットワーク、VLAN 2 (ポート3~8)にDanteネットワークを構成します。

上記の例は、VLAN 1がコントロール信号用の100Mbpsネットワーク、VLAN 2がオーディオ転送用に広帯域の1Gbpsネットワークであるとも言えます。これらのネットワークを分離することで、1Gpbsネットワークが100Mbpsネットワークを圧迫するのを防ぐことができます(トランク回線では両ネットワークが共存します)。以降では、上記のネットワーク構成を例としてVLAN設定を行います。

VLANを使用してDanteのプライマリ回線とセカンダリ回線を同じスイッチに接続することもできますが、推奨いたしません。ケーブル不良などのトラブルに対する冗長性は確保しても、スイッチが故障したときに両回線が切れるからです。

以降の設定を行う前に、コンピューターはこれから設定するVLAN 1(この例ではポート1または2を想定)につながっていることを確認してください。VLAN 1は特殊なデフォルトVLANなので、スイッチを設定する場合は必ずこのポートにコンピューターをつなぐ必要があります。

最初に、必要なVLANを作成します。初期設定ではVLAN 1だけが存在するので、VLAN 2を追加します。以下のページで、「追加」ボタンをクリックします。ポップアップでVLAN ID 「2」を入力して「適用」をクリックします。多数のVLANを作成する場合はVLAN名を入力しておくと識別に便利です(必須ではありません)

次に、各スイッチポートの動作を設定します。初期設定ではすべて「トランク」ポートとなっているので、ポート1~8は「アクセス」ポートに設定します。以下のページで、ポート1を選択して「編集」をクリックします。

ポップアップで「アクセス」を選択して適用します。

ポート2~8も同様にアクセスポートに設定します。素早く設定するには、「設定のコピー」ボタンを使って、ポート1の設定をポート2~8にまとめてコピーすることもできます。

次に、各ポートをいずれかのVLANに割り当てます。以下のページで、VLANごとにポートからVLANへのアクセス可否を設定します。まず、VLAN ID 「1」、インターフェースタイプ「ポート」が選択されていることを確認します。ポート3~8はVLAN 1に含まないので、「禁止」を選択します。ポート9~10はトランクポートですが、VLAN 1は特殊なデフォルトVLAN設定なので「タグなし」のままにします。VLAN 2の設定に移る前に、忘れずに「適用」してください。

VLAN 2の設定に移るには、VLAN ID「2」を選択して「実行」をクリックします。ポート1~2はVLAN 2に含まないので「禁止」、ポート3~8はVLAN 2に含むので「タグなし」を選択します。ポート9~10はトランクポートなので「タグ付き」を選択します。

これで、スイッチ内での論理ネットワーク(VLAN 1、VLAN 2)が構成され、トランクポート(ポート9~10)を経由してスイッチを跨った論理ネットワークも構成されました。設定を変更したので忘れずに保存してください。